場所と時間に依存する働き手

昨日、ある知人から、全労働者の中で現場で働いている人は5割を大きく超えているという話を聞いた。

店舗で働く人はもちろん、建設現場やビルメンテ、様々な保守サービス、学校や保育関連サービス、訪問セールスなども、その瞬間にその場所にいなければ商売にならない仕事は多い。私は漠然とそういった仕事は減っているのではないかと思っていた。コンビニでもレストランチェーンでもシステム化、分業化が進んで目に見える従業員の数は減っていると感じている。しかし、依然として5割以上の人は、その瞬間にその場所にいる事が重要な仕事に従事しているらしい。

考えてみれば、介護サービスなど年率で5%増えるような仕事もある。

現場の仕事も、上手にシステム化、分業化を進めれば、全体的な生産性は向上する。同じ付加価値を出すのに必要な総労力は減り、分業で業務内容の一部が移転されれば、一つの仕事に関わるフロント労働者の所要時間も減る。その分、相手にする仕事の量は増える。定型化された仕事をどんどんこなしていかなくちゃいけないという形になれば、辛さは高まるだろう。

例えば、ビルメンテの現場であれば、スマホで補修箇所の写真を撮って報告するアプリがあれば、手配はバックオフィスに任せられるし、保守で巡回する人は、適切なシステムがあれば短時間で多くのサービスを提供できるようになる。システム化前は日に3か所が限界だったのが、6か所回れるようになるかも知れない。それは素晴らしい事だが、毎日常に忙しい状況が続けば、人間が壊れそうな気もする。

労力を時間で換算するのがおかしいとは思わないが、どうも新たな奴隷制社会、別名格差社会ができあがりつつあるように感じられる。

柔軟な働き方ができる社会の確立に貢献出来たら良いと願っている。つい、時間と場所に縛られる必要のない仕事に焦点が当たりがちになる。多数の現場で働く人の笑顔を増やせなければ悲しい。