Skype番号

今週Skype番号を更新した。2013年2月21日に050番号を月額5ユーロで契約したのが最初の一歩で、9年目に入った。当時、現在の会社を創業する前の準備段階にあって、この時期に登記住所となるコワーキングスペースを決め、ドメイン名を取得し、会社の電話番号をどうしようかと迷っていた頃だった。コワーキングスペースの提供する電話サービスを使うことも考えたが、私の会社で電話を使うことは稀だと考えていたし、番号さえあればよいだろうと考えてSkypeのOnline numberを取得したのだった。なぜ当時ユーロ建てで購入したかは覚えていないが、途中でドル建てに切り替えている。途中で年払いプランに変わって、年17.70ドルに値下げになって、現在に至る(円建てだと年2,400円)。月当たり200円以下で番号を維持し、Skypeの通話転送サービスを待機時間1秒で設定し、自分のアメリカの電話番号に転送する設定にしている。Office 365の契約に付帯の60分間無料サービスがあるので従量費用が発生したことはない。

若干脱線するが、これまで、Skype番号は自分のクレジットカードで支払って、立て替え払いの精算を行ってきたが、今年の精算のタイミングで会社口座のデビットカードに切り替えた。恐らく来年の契約更新の時には、TransferWiseのデビットカードに変えているだろう。ZoomやMicrosoftなど国際的なサービスプロバイダーは母国通貨での支払いのほうが安価だ。法人の支払いでもデビットカードが使えるようになって、外貨での支払いに法外な手数料が請求されることは無くなったが、Fintechの方が使い勝手が良い。デビットカードで支払いは楽になったけれど、受取は改善されていない。従来の当座預金の役割はFintechに動いていくのだろうと思う。銀行はかなり大きな変化に直面せざるを得ないだろう。銀行の本質が情報サービスだとしたら、物理的な場所を必要としないからやがてグローバルサービスプロバイダが力を持つことになると思う。デジタル・トランスフォーメーションやデジタル・ガバメントは自国優先視点で考えているといずれ時代からおいていかれる。どこの政府も保守的だが、グローバル企業はずっと先を見ている。

今振り返ると、Skype番号は悪くない選択だったと考えている。当初契約したコワーキングスペースは今は無く、別のスペースに登記変更しているが、もちろん電話番号は変更不要である。電話などもうほとんど使わないのだが、電話番号は役所を含む関係先には必ず届けなければいけないので変更不要なのはありがたい。住所も実質的には納税場所という意味しか持たなくなっているので、やがて仮想化度合いは高まっていくだろう。

現在のSkype番号は(米国以外では)SMSに対応していない。SMSは多要素認証に多く使われており、Paypal等セキュアなスマホアプリでは、その地域の電話番号のSMSが受け取れなければ利用可能でないものもある。私の場合は、エストニアにも合法的に法人を建てていて、コンタクト事務所を登記している。日本でサービスオフィスで本社登記するのと変わらない。だから、その登記住所で私のIDで電話番号を取得してPaypalを開設したいのだが、そういう用途にはSkype番号を使うことができない(エストニアの番号は取っているが実質的に意味をもたせることができていない)。そこはちょっと残念なところである。電話番号もデジタルアイデンティティの一つで、その国際番号は一定の意味をもっている。Skype番号は、自分の母国とは違うデジタルアイデンティティを(ある程度のレベルで)提供するサービスでもある。