交詢雑誌で谷口智彦の『令和時代の日本外交』を読んだ

谷口智彦氏は安倍総理のスピーチライターで国外向けのスピーチを書いている。10回以上書き直すこともあるのだそうだ。

『令和時代の日本外交』(交詢雑誌令和元年7月20日号)を読む限り、安倍氏の愛国心は本物に見える。安倍氏に関し「目的のために合理的な行動は何かということを考え、努力する人」と述べている。近しい人が書いているのだから本当にそうなのだろう。同時に「バラク・オバマという大統領は、彼自身がスピーチ一本でのし上がり、スピーチ一本でノーベル平和賞をとった」とも書いている。この言及はある意味でとてもわかり易い。彼の見方に従えば、バラク・オバマも権力者志向でのし上がった人という評価でその武器がスピーチだったということだろう。まず権力闘争に勝って初めてスタートラインに立つというリアリズムに立っているように見える。

彼の見方に従うと、安倍政権は実績を出し続けている素晴らしい政権、素晴らしい宰相ということになる。長期であることが官僚への統制力を高め、オリンピックで若者に勇気を与え、アベノミクスでホームレスを納税者に変え、万博の誘致に成功して2025年に再び夢の節目をおき、強い国に向かって前進しているということだ。そういう観点に立つと「目的のために合理的な行動は何かということを考え、努力する」ということは手段より結果に重きをおくということと同じで、嘘をつこうが、不正があろうが、彼の理想に近づくことであれば何でもOKということとなる。安倍氏の実際の行動と良く合致する。その手強さが日中和解ムードを醸成したという分析となる。少し面白いと思うのは、TPPの件だ。安倍氏は、国際関係上強い立場を獲得するためにはTPPの推進が有利だと考えたのだろう。強い日本の実現という目的のためなら、国内の支持者の声も無視できる強さがある。

谷口氏は、産経の正論でモリカケ批判を痛烈に批判している。谷口氏も「目的のために合理的な行動は何かということを考え、努力する人」なのだろう。言い換えれば、国益という軸で見る人で、モリカケ批判や打倒安倍などと叫ぶ輩は非国民と考えるということだ(彼は非国民とは言っていない)。そういう価値観で見れば、安倍氏は誠実で立派な人に見えるのだろう。

安倍氏は、彼が良いと考え一度目標を定めたら「目的のために合理的な行動は何かということを考え、努力する」。私もその凄さに尊敬の念を覚える。また、彼の目的のじゃまにならない限りは、人としても誠実で親切な人なのだろう。知人は運悪く地雷を踏まなければ惜しみなくチャンスが与えられるだろう。それによって実現されてきた良いこともたくさんあると思う。

「目的のために合理的な行動は何かということを考え、努力する人」にとって目的の邪魔になる力ある人はすべて敵となる。彼らは倒すべき、排除すべき対象となる。軍門に下らせるか、追放するかどちらかしかない。正に専制と隷従の強制にほかならない。力のある官僚も地雷を踏めばさようならだ。力の無い民は力の無いままで声を上げない存在であるのが目的に合致する。

彼が憲法を改正したいと考えるのはとても自然に感じる。憲法前文にかかれている考え方自身が彼の思いと合致していないからだ。

私は、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」という宣言を大事にしたい。

タグ