SDGsのGoal11「人や国の不平等をなくそう」は格差に関わる指標だ。この中に Elderly Poverty Rate (%)という指標が出てくる。これは、66歳以上の相対的貧困率で日本は19.6%で悪化している。つまり、高齢者のほぼ5人に1人は貧困状態にあるという事だ。
これはかなり衝撃的な値だ。
気になったので、OECDのデータを見て見ると以下のようになっている。
日本の貧困でも触れたが、日本は全年齢層で15.7%とかなり低順位で、右側から9番目にいる。
高齢者だけで見ても日本の順位は変わらないが、見た瞬間に分かるのは高齢者の貧困率は、国によるばらつきが遥かに大きい事だ。
下から見ると、最悪なのが韓国で高齢者の貧困率は43.8%。何と半数近くが貧困に落ちる。バルト三国がそれに続き、メキシコ、オーストラリア、米国、イスラエルでその次が日本だ。一方、上位はアイスランド、デンマーク、オランダ、フランス、ノルウェーで全体の貧困率が低い国とラインアップはあまり変わらない。しかし、トップのアイスランドは全体で5.4%で高齢者が2.8%なのだ。高齢者の貧困率の方が、全体より低いのである。
もう一度全体、若者、高齢者の3点がプロットされているグラフを眺めて見ると、半分より左側の方は、スイス、オーストラリア等の例外を除いて、高齢者の貧困率の方が全体より低い。格差の小さい国は、老人にやさしいのだ。私は勝手に世界的に見れば日本は老人にやさしい国に違いないと思い込んでいた。しかし、事実は違っていたのである。
逆に日韓は、若者の貧困率が全体より低く。他国に比べて若者を大事にする国と言うことになる。シルバー民主主義という言葉もあるが、地球儀を俯瞰して見れば、かなり老人に冷たい国で、客観的に見ればシルバー民主主義が機能していない国と言える。
世界を日米の軸で見ているから、格差問題では米国よりましで、何となく日本はまともな国だ思い込んでしまっているのだろう。しかし、現実は違う。
ひょっとすると、為政者も気付いていないのかも知れない。
現在の日本では、高齢者は発言するコミュニティを持っていないが、もし一般高齢者がコミュニティを形成し本気で高齢者のための政策を考え始めたら全然違う方向に動いていく気がする。私は、高齢者の善意には楽観的で、若者から毟って自分が楽になる事は是としないだろうと思っている。本気にさえなれれば、高齢者が生産活動に貢献できる方法を良く考えて、将来を明るくする知恵を出せるだろうと思う。
アメリカばかりを見ないで、もっと欧州の方から学んだ方が良いと考えている。