マイナンバーカード電子証明書の有効期限通知に従って更新して感じたこと

2016年にマイナンバーカードを取得し、誕生日が1月なので5回目の誕生日が来月来る。12月1日になって「電子証明書の有効期限通知」が届いたので、電子証明書の更新処理に文京区役所に行ってきた。所要時間は待ち時間を含めて20分弱。役所の手続きとしては十分早いと思った。ただ、パスワードを書かせる紙が申請資料に含まれていたのはひどいと思う。2つのパスワードとさらに3つの任意のパスワードがあるので、申請者の中には困ってしまう人もいるからしょうがないという感じもするが、パスワードを紙に書かせるオペレーションはやはりまずいだろう。窓口では「一瞥の上」返却され自分で処分するように言われたが、窓口の係員は一瞥しているのである。私が、窓口の係員だったら絶対にやりたくないオペレーションだ。人のパスワードは知りたくない。

住基カードの時から確定申告に電子証明書を利用するようになり、会社を作るときにも電子申請に挑戦したのだが、法務局の窓口の職員が十分に受けていなかったため、結局紙で提出することになったのも憶えている。デジタル・ガバメントを推進する人たちが、過去の日本のプロセスの電子を指向しているとしか思えないところがあると思うし、政治家も主権者も首相が率いる行政府を支配者と勘違いしているふしがある。行政は「主権者のために」個人情報を権利関係を含め「預かって処理する権限」を限定的に付与されているのであって、支配者意識では困るのである。

最前線の窓口の人の多くは公僕の位置づけを理解していると感じている。案内係の人は親切だし、窓口の人も偉そうにしているケースは稀だと思う。ただ、現場のプロセスを決める偉い人は、平気でパスワードを紙に書かせるようなプロセスを作ってしまう。だいたい、マイナンバー制度自身が支配者モデルになっていて、主権者の権利からの制度設計になっていない。おそらく政府の未来は考えていても、主権者の人権の強化に想いが及ばないのだろう。もうちょっと、エストニアに学んだほうが良い。個人番号は本人の権利を代表するものであって欲しいのだが、銀行口座の紐付けとか、支配者の発想でどんどん締め付け方向ばかりが強化され、エストニアのe-residencyと比較すると、どんどん遅れが拡大していくばかりである。技術はともかくかけられる金は遥かに大きいのに、政府が腐っている。言い方を変えれば、主権者が井の中の蛙ということなのだろう。

窓口でマイナポイントの申請やコンビニでの申請などが24時間できないケースがありますと言われたが、確認してみると、なんとマイナポータルにログインできない。国の公式なエントリーポイントのサービスが使えないのである。マイナポータルの一番上に「健康保険証利用の申込」が出ているところも愚の骨頂だと思う。必要なのは健康保険証の廃止ではなく、医療機関や健康保険組合で「預かっている」診療情報や支払い情報などの個人情報を主権者に属させ、検査情報を医療機関の助けを借りずに他の医療機関に開示したりできるようになってこそマイナンバーが意味を持つように変わっていくと思うのだ。政治家が悪いのか官僚が悪いのかは分からないが、健康保険証とは何かを深堀りせずにカードの枚数を減らせばデジタル・ガバメントが進化すると考えているようではお先真っ暗だと思う。とはいえ、デジタル庁ができれば良い方向に変わるかも知れない。村井氏がNo one left behindと言っていたのを思い出すと、まだまだ可能性は残っていると思う。

マイナポータルが主権者にとって自分の個人情報を所有している主体を全て追跡できるようなサイトになったらデジタル・ガバメントが緒についたと言って良いと思う。

画像は、文京区の「マイナンバーカード・電子証明書の更新について」から引用したもの。