日本感染症学会のCOVID-19ワクチンに関する提言(pdf)を読んだ

日本感染症学会のCOVID-19ワクチンに関する提言(第2版)を読んだ。2月にリリースされた文書で本文15ページ弱の読みやすい提言だった。もちろん、まだ日々得られる情報が増えている段階だから今後見解が変わる可能性はあると思うけれど、こういう文書を公開していくのはとても意味があることだと思う。特に、第2版に関しては、修正部分下線ありPDFも掲載されているところに好感が持てる。また、ワクチンの安全性に触れた部分では以下のように書かれている。

COVID-19 ワクチンとして開発されているワクチン、とくに mRNA は分解されやすく長期間細胞内に残存することはなく、またヒトの染色体に組み込まれることはありませんので、比較的安全性は高いことが予想されます。しかしながら、mRNA を今後繰り返し投与する場合の安全性や LNP に含まれる脂質の長期的な安全性はまだ明らかになっていません。いずれの COVID-19 ワクチンもヒトでは初めての試みですので、どのような副反応がどのくらいの頻度でみられるのかを理解し、接種後の健康状態をよく観察しておくことが重要です。

長期的な安全性はまだ明らかになっていないので、マクロで見れば、mRNAワクチンを打たない人が一定の割合でいた方が良いと示唆していると読むことも可能だ。例えば医療従事者が、一種類のワクチンに頼って数年後に一斉に医療行為に従事できなくなったらというリスクを想像すると恐ろしいことだと思う。

mRNAワクチンの良さは相当なもののように思えるので、自分が打つ気持ちになった時に洗濯の自由があるなら現時点ではBioNTechに最も期待を寄せている。移動の自由、あるいは自由な移動に伴う自分のリスク、他社へのリスクをどう考えるかという話でもある。どこまでデータが厚くなるまで待つかは、現実を見ながら考えるしか無い。感染確率が低ければ長く待ちたいし、自分がリスクのある行動を取りたければ待つわけにはいかない。

Worldmeterを見る限り、現時点での人口あたりの感染者は222カ国中138番目、死亡者で127番目(米国の18分の1)。私は政府の施策を批判的に見ているが、実績を見る限りかなりうまくやれている。ただ、問題はこれからだ。これまでの実績があるからといって未来が保証されるわけではない。個人で見ても、集団で見ても、昨日あるいは今日と同じ明日が来るとは限らない。国あるいは組織としては、様々なデータと、提言のような解釈を徹底開示した上で、説明責任を果たせる判断を行うのが望ましいことだと思っている。まずはFactの蓄積と公開だ。最初から結論ありきの密室政治は独裁と同じだ。まあ、相対比較すれば日本政府は悪くない方だとは思うけど。

私は、オリンピックの開催は反対だ。善き世界市民としての役割に反すると思うからだ。

後で振り返る日が来ることを意識しつつ、記事を書いておく。