昨日は、熱海の土石流のニュースで驚き、ブラタモリの「江戸城〜江戸城は日本の城の集大成!そして...〜」の後編を見て、徳川幕府の都市計画のすごさを感じた(関連して国交省の2016年白書の経済成長とインフラ整備の歴史を読んだ)。今日は、SNSを見ていて、メガソーラーが土石流に関連しているのではないかと疑わせる記事を読んだ。都市計画がうまく機能していない、江戸時代のそれに負けていると感じた。
都市計画の推進は、必ず割を食う人が出る。正直に言って、独裁的な権力者でないと進めるのが難しいのではないかと感じる。金もかかるし、全てを公平に進めることはできない。都市計画という観点では、東京あるいは江戸だけでなくアムステルダムも印象的だ。もともとは漁港だったところが、欧州屈指の都市になっている。こちらは自由都市だったという記述があり、軍事的支配に基づく動機よりは、豊かさを求めた体制の中で構築されていったところのように見える。Coworking Europeで話を聞いた時に、今も経済的発展の観点で都市計画が強く意識されていることを知った。
メガシティを念頭においた都市計画ばかりではなく、もちろん熱海のような街であれ、尾道のような街であれ、安全と豊かさを求めるためには適切な計画と投資が必要となる。人口減少期にあるから、持続可能性を追求するのは簡単なことではない。
ダムとか、メガソーラーとか、原発は、概ね集中型モデルで、一つの設備で一気に多くの成果を出そうというアプローチで、金も動くし花もあるのだが縮退に弱い傾向があり、人口減少期には向かない気がする。既に水道の維持も、橋や道路の維持も困難になっているケースが見受けられ、大きなネットワークに頼るモデルは持続可能性が失われつつあるように感じる。
国交省の「人口減少・高齢化等の人口構造の変化に対応した都市計画のあり方」を見る限り、官僚はアセスメントから始める考えなのかも知れない。住民がどう思うかから始めるのは適切にも思えるが、都市計画はビジョン抜きでうまくいくとは思えない。オプションを示すのは良いが、ありたい姿は示された方が良いだろう。
私は、大きな方針として、向こう30年程度脱集中モデルを指向し分散型のインフラ再建を目指すべきだと思う。そのためには、まずPKIを含むICTインフラを整え、プライバシーを守りつつセンサリングを強化し客観的に投資順位を設定できるようにする必要があると思う。同時に、十分な研究予算をつけ、複数の都市計画ビジョンをアカデミアあるいはシンクタンクに立案させると共に、質の高い国際カンファレンスをホストして、叡智を集めることを奨めたい。
短期的には、個別の規制も被害者支援もしなければならないことだと思うけれど、スケールの小さな動きでは時代の変化に対応するのは難しいだろう。