カフーツ世界コワーキングデイ2021-08-09で登壇した

カフーツ世界コワーキングデイ2021-08-09で登壇した

カフーツは知る人ぞ知る日本最古のコワーキングスペースで、私は店主不在の時に一度訪問したことがある。伊藤氏とは、何度もお話させていただいたりサシ飲みしたこともある間柄だ。

残念ながら、ここ一年間というかコロナ以降コワーキングスペースは利用していない。飲食店も同様である。しかし、コワーキングスペース運営者勉強会にはほぼ毎回参加させていただいて、新しい取り組みに接させていただいている。海外のカンファレンスも、そのタイミングでいくつものコワーキングスペースを訪問させていただくことも前回から91週が経過している。予定では、昨年のオリンピック期間中に1ヶ月エストニアのタリンのWorklandで過ごすことにしていた。伊藤氏が提唱する移働の時代の一つの形でもある。

私のコワーキングとの出会いは、2013年にPAX Coworking(当時の施設は閉館)に佐谷氏を訪ねた時に始まる。その勢いでサンフランシスコのCitizen Spaceを訪問し、当時はまだ無名だったWeWorkをニューヨークで訪問したり、NewWorkCity(閉館)を訪問したりした。Tony Bacigalupoと会ったのはCoworking Europeだったが、どこに言ってもKyo Sataniは良く知られていたのを思い出す。

その頃から8年が経過し、私が感じるこれがコワーキングスペースだと思うような比較的小規模で親しみやすくかつ閉鎖的でない場所はほとんど消えてしまった。それは日本に限らない。規模が拡大してビジネス的に成功しているように見えるところもたくさんあるし、リゾート型のスペースで軌道に乗ったように見えるところもある。メンバーが200人を超えるようなところでもコミュニティが機能しているように見えるところもあるのだが、かなり上手く行っているケースでも平均契約期間は3年程度が一般的だ。シェアオフィスに比べると流動性が高く、経営は難しいように見える。しかし、人が人を呼ぶスペースは依然として魅力的で、恐らく今後も新たなタレントが生まれては入れ替わっていくだろう。ちょっと、良い喫茶店やバー、ペンションのような匂いがする。

コリビングはゲストハウスと似た匂いがする。なんとなく、数年程度で卒業していく人が多いイメージだ。もちろん、メンバーが入れ替わりつつずっと魅力的な場所はある。店主夫妻が齢を重ねても輝き続けるようなケースは見受けられ、成功するコリビングは存在し続けるだろう。

以下は、実際に参加して感じたことのメモである。

最初は伊藤さんの話。サンフランシスコのBrad NeuburgのSpiral Museの話から始まった。コワーキング5大価値を紹介、つながり、シェア、コラボ、コミュニティ、継続性とした。ついで、コワーキングツアーの話。コワーキング曼荼羅(3.1)の紹介。伊藤さんには独特の世界観があってあるべき姿やモデル化に熱心だ。私にとってのコワーキング(スペース)は居場所だから、サービス提供者側の視点とは異なるが、良質なサービスプロバイダとコミュニティが育たなければコワーキングは成立しない。Beyond the Coworkingワークショップで自治体も巻き込んで新たな動きを創出していこうという活動に敬服する。コワーキング連携アプリ開発でイベント収益のシェアのアイディアは昔からあるもので私も創業期に指向して失敗したものだが、上手く行ってもらえると本当に嬉しいと思った。

一番バッターは、パラレルコミュニティコーディネータの岩田かなみさん。自称「旅するコミュニティマネージャー」。ON PAPERの紹介に好感。「おせっかい力」というキーワードが光った。これまでも何人か好感をもったコミュニティマネージャーに出会ってきたが「おせっかい力」は明らかにコワーキングを駆動する。

二番手は篠田 拓也さん(京都:GROVING BASE)で夫婦でコワーキングスペースを創業。導入部に続いてコーヒーの話をされていた。ロイドやフランス革命がカフェから始まった話から「コーヒーがコワーキングスペースを繋ぐ」という流れが秀逸で、どうイノベーションが起こせるのかという視点が深いように感じた。コーヒーの風味づくりと場所の結びつけは大変興味深い。フォーマットが確立されていて、参入が容易そうで惹きつけるものがある。コメントも多かった。シェアキッチンも検討中とのこと。

ついで永瀬 泰子さん(大阪ほか:Crossing(新大阪), こひつじ親子コワーキング(三鷹))。働くと暮らすの融合。自分のライフスタイルに合わせて新たなスペースを立ち上げていくバイタリティのある方。三浦半島でもう一つやりたいらしい。「働くと暮らす」、「働くと子育て」などのテーマを短時間ながらjamboardで議論するスタイルはとても斬新。子育てとコワーキングの融合は世界各国で挑戦されているが、永瀬さんの前向きな挑戦に好感。

4件目は江原 政文さん(長野佐久:ワークテラス佐久)。行政との連携から行っているローカル複業化プロジェクトの話。ほぼ100%移住者でコワーキングの意味がないのだが、メンバーに交流や関与の意思はある。マイクロビジネス化がポイント(ボランティアだけでは無理)。地域での活動を通じてイノベーションが起きているのが伝わってきて迫力がある。Web/IT系のコワーキングスペースが多い中リアルな問題との関わりは印象深い。

5番目は。住んでコワークという点で問うたところ、「全国のソーシャルタウン(コミュニティエリア)をネットワーク化して展開していきたい」というコンセプトを掲げる徳島の【ハンモサーフィン】の長町敏明さんのコメントが得られた。大変興味深く、フォローアップして行きたい。

6番目は今野 純子さん(北海道:COCOスペース)。札幌でのコワーキングスペース運営で子育て世代を対象にしているコーワキングスペースがなかなかないので、遠隔地からの来訪者もあることを経験して創業。地理的には中心部から遠いのにも関わらず、まだ2年目だが100名以上が登録済みでイベントを46回/月実施している。悩みとしては、自分が中心になってしまうのが悩み。

7番目は古家 良和さん(兵庫三田:OFFICE CAMPUS)。ドロップインメインで、卒業生が帰ってくる属人的なスペースを目指しているのが伝統的コワーキングの延長線にある取り組みに好感。

8番目は池嶋 亮さん(香川高松:Setouchi-i-Base)。行政の関わりが強い。若者向け、ITフォーカス。コワーキングの使い方のレクチャーに困難を感じたと言う。地域にいる話ができる人が相互に知られていないので、そのプロモーションに力を入れたのが秀逸だと感じられた。SDGsのイベントでは高校生が多く集まって大人をよく見ているのが分かった話も興味深い。大上段に捉えるのではなく香川視点で解釈する工夫も興味深い。

16:30からはこけやま こうすけさん(兵庫神戸:コワーカー)。音楽を教える仕事がメインでリモートでのレクチャーで成功している。コワーキングのLike minded peopleのコンセプトを地で行く感じの発表が印象に残った。コワーキングに関わる人には目的指向の人と共感指向の人がいる。もちろん、どちらか一方ということはなくどの人も両面を有している。話題によって、他の方の反応が変わるのが興味深い。

脱線で奄美ツアーで繋がりはできたかという長町さんから意見が出た。自治体にとってコミュニティの確立は関心が高いのがよく分かった。個人的な印象としては、共感指向でアプローチするか目的指向でアプローチするかで見え方が大きく変わるので、適切なフレームワークがあるかも知れない。

10番目は松川 哲也さん(大阪藤井寺・柏原:ノーウェア土師ノ里ノーウェア柏原)。バンドマン。The Deckからコワーキングに接触、内外のカンファレンスに出席するなど積極的に動かれている。あそびを中心において創工芸を目指すのが特徴。ノーウェア土師ノ里の「暮らしと冒険が等しくなる場所」というキーワードはキャッチーだと感じた。上手に行政との関わりもっている模様。アウトドアスポーツとの関連など視点が幅広い。また、Local Graphyという名称でローカルタレントのプロモーションを行う部分は池嶋さんのアプローチに通じるものがある。一つの王道かも知れない。人にフォーカスが特徴。手広いと感じたが、当初から想定していたわけではなかったようだ。むしろ動いて広がっていった感じ。宿泊施設のプランニングにも取り組んでいる。

11番目は桃原 教子さん(沖縄大宜味村:SEASIDE OFFICE)。今日は、話を聞きたいとのこと。ワーケーションとコワーケーションは違うというところに関心がある。ワーケーションウィークが行政によって計画されている。長期滞在を前提としたコワーケーションが望ましいという声はあるが、行政は企業の誘致に惹かれてしまっているのが難点。

12番目は新妻 正夫さん(埼玉新座:Hanareひばりヶ丘)。私は一度だけ訪問させていただいたことがある。Coder Dojoの活動を紹介。人数を絞ったら交流が深まったのが極めて興味深い。教育版マインクラフトの話し(関連記事)は大盛りあがりだった。要フォローアップ。

13番めは五十川 員申さん(石川野々市:cafe? IKAGAWA DO )。自称コワーキング原理主義者。供与型コーヒーチケットのアイディアがとても興味深い。コワーカーにつかまってしまうこともあるし、鍵を渡して任すこともある。まさに原理主義者で、ぜひ自分の目で見たいと感じた。持ち込み企画でイベントを回しているのは長所になると思っているとのこと。

最後は大御所、佐谷 恭さん(千葉鋸南:PAX Coworking Kyonan(鋸南エアルポルト))。基本はまとめだが、シャルソンを再紹介。地元の人が地元を歩くことで発見、気付きが生まれる。もちろん、観光客にも収穫がある。地元の人は普段はいらない店に入る。同じTシャツを数人が来ているとお店の人が話しかけてきて会話のきっかけが生まれる。SOTOCHIKUシャルソンについても紹介した。

驚いたことにほぼ時間通りにトークセッションは終了した。

 

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