ウクライナ国籍のエストニアe-residentは5,000人以上いる

昨日ウクライナの平和と発展を願うというブログを書いた。幸い、このブログを書いている段階では戦争には至っていないようだ。

ウクライナ籍のe-residentは2022年1月末の時点で5,130人。ウクライナの人口は約4,000万人だから、何と1万人に1人以上のエストニアe-residentがいる計算になる。会社設立数も1,500を超えていて、ロシアに次ぐ2位だ。日本の人口で考えると、1万人がe-residentになり、会社設立数は5,000近くになるという計算である。ちなみに日本国籍のe-residentは3,000人強で設立者数は354社だ。

単純に考えると、出国することなくEUの会社を立ち上げて商売をやっている人がかなりの人数に及ぶということだ。ウクライナは一人あたりgdpはエストニアの6分の1程度なので、ITなどリモート職での取引ができれば少し付加価値の低い仕事でも母国では良い収入になるだろう。ちなみに、ロシアの一人あたりgdpはエストニアの半分弱だ。

私は、これは本当にすごいことだと思っていて、言語などの問題があってパフォーマンスが5割しか発揮できなかったとしても相互にメリットのある契約を結ぶことができる。日本のe-residentもエストニアでEU企業を立ち上げられるので、ウクライナのe-residentのEU企業とエストニアの法制度のもとでEURO建てで取引ができる。ちょっと頑張れば中小企業だって一人会社だってグローバルな活動は可能なのだ。実質的に、国の壁を超えて、日本の企業がウクライナにリモートジョブ発注を行うことも可能だ。私は、どんどん出したら良いだろうと思っている。ただ、リモートワーカーの人件費相場は地域にあまり依存していないので、日本の企業がウクライナの人にとって魅力的になれるかどうかは分からない。

ウクライナはまだEUに属していないから、EU域内の移動の自由は有していない。自由があっても、家族等の事情で動けない人もいるだろう。まずは個々人が豊かになって、国が豊かになって、平和で勢いのある国になったら良いのに、と思う。今の日本でも感じることだが、国が金を使うと(国に金を渡すと)途中で抜かれて中々本当に届くべき人または場所に金が届かない。

エストニアは、その壁を超えられる制度を作った。そして、少なくないウクライナやロシアの人がその制度を利用して羽ばたこうとしている。まだまだ大きな動きとは言えないが、私は世界の平和に貢献する制度だと思っている。物理的な領土を軽視することはできないけれど、国と国との覇権争いから距離を置いて生きていける新世界の入り口を開いてくれている。

ちなみに、2022年1月のe-resident申請数は1,268とあり、エストニアの年間出産数は13,000人強。新生児と同数以上の非居住の大人の経済人が生まれている状況にある。e-residentがその制度を活かしてビジネス活動を行えば、物理人口を超える成長が期待できるということだ。物理的な移動を伴わない越境が可能となるユビキタスライフスタイル時代は、人材育成がなによりも大事になるだろう。長期目線が大事で、短期的なベンチャー育成も良いが、成人の継続的教育を含めて国として取り組まなければできないテーマだと思う。誰であろうと、できれば世界でどこででも通用するような人材になれた方が良い。何とか、良い仕事をして収益を上げ、エストニアにもビジネス関係や納税で貢献したいと思っている。

※冒頭の表はhttps://www.e-resident.gov.ee/dashboardから引用したもの