それでも日本は新型コロナ対策の成功国だと思っていたが、現状は厳しい

オミクロン株は軽症などと言って、油断している内に人口あたりの死亡者数はかなり上がってしまった。自分の身の回りでも感染者はかなり増えているものの、重症者はいないから実感がわかない。しかし、WHOの統計数字を見ると100万人あたり1.7程度と現在のイギリスとほぼ同程度となっている。60万人に1人が亡くなっている。一ヶ月続けば2万人に1人。個人の視点では、まあ自分が死ぬ確率はゼロに近いが、油断すれば、ピーク時のイギリスのように一ヶ月で2000人に1人という状況が起きる可能性がある。まだ、自分が死ぬ確率は十分低いけれど、その数値となれば周囲で亡くなる人が複数出るようになるだろう。

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人口あたり感染者数はピークは超えているように見えるが、このグラフを見ていると、2021年年頭の差異は軽く10倍程度あったのに対し、夏から秋にかけての差異は数倍程度、現在の波では3~4倍と縮んでいるのがわかる。簡単に言えば、緩んでいるということだ。日本の感染者数のピークは前回のピークの約4倍、まだ死亡者数のピークを迎えているかわからないが、現時点で前回のピークの約2倍。つまり、統計数値で見る限りオミクロンは致命率は2分の1にしか減っていない。罹るとやはり危険な病気であることに変わりはないのである。病床を増やして多くの人が罹患しても治療を可能にするという施策は好ましいが、だから感染者が増えてしまっても構わないということにはならない。

オミクロンが最後の波と考えるのも現実的ではない。「感染は止める。社会は止めない。」の「社会は止めない」は元の社会に戻すということでは達成できない。「社会は止めない」を達成するためには、感染が拡大したら、直ちに人の接触を減らして回るモードに切り替えても止まらない社会を作らなければいけない。第一にはデジタル化投資だろう。3週間接触が止められ、検査と隔離がきちんとできればゼロコロナは達成できるはずで、ゼロになっている間は接触があっても感染は起きない。

我慢していればやがて元に戻るという甘い夢を見てはいけないと思う。感染が起きにくい社会を作り上げていく意思をもって技術開発する必要があると思っている。