新型コロナ後遺症の原因が特定されることに期待したい

Facebookに書いた記事を加筆修正。

気になったので、新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(6月18日)ブレインフォグ研究に大きな進歩をシェア。最初に新型コロナが出てきた頃、味覚嗅覚への影響が話題になった。脳神経に何らかの影響を与えることが想起され、以降下畑享良氏の記事に目を通すようになった。私はこの分野の知見は無いので、記事を読んでGoogleで検索したり、引用されている論文を拾い読みしたりする程度のことしかできない。しかし今回の新型コロナの後遺症が「脳脊髄液CCL11(エオタキシン)等のサイトカイン・ケモカイン産生 → 海馬の神経細胞新生の障害 → ブレインフォグ・認知機能障害」(萩原が一部省略)というメカニズムによるのではないかという仮説には説得力を感じた。
一言でまとめれば、軽症でも新型コロナに感染してしまうと長期的な認知機能障害につながるリスクがあり、そのメカニズムが分かってきたかも知れないという事になる。
3回目接種で重症化リスクはかなり抑えられることも分かってきているが、3回目接種でも感染予防効果は半々でしかないので、流行ってしまえば感染は避けられない。感染すれば重症化しなくても、認知障害に至るリスクがあるということを理解しておく必要があると思う。リスクはリスクであって必ず認知障害に至るわけではないが、自分は運が良い方ではないと思う人は慎重になったほうが良いだろう。
「若年マウスに老齢マウスの血漿を暴露させると認知機能障害を起こすことができる」としたNatureのThe ageing systemic milieu negatively regulates neurogenesis and cognitive functionという論文でCCL11が関係しているという話は初めて知った(アブストラクトは自動翻訳でも十分読める)。今後、さらに研究が進んで認知障害への治療薬が見つかることに期待したい。重症化のリスクが下がり、後遺症も軽減・治療できる見通しがつけば新型コロナはそれほど恐れなくて良い病に変わる。私は、まだ油断できない時期にいると考えている。

※冒頭の画像はwikimediaから引用させていただいたCCL11。こいつが認知症を引き起こしているのだろうか?