明るい未来は必ずある

ベルリンの壁が崩れ、ソ連が崩壊した時、これから平和な時代が来ると思った。世の中はきっと良くなると思った。

Yes we can!と叫んで、オバマが大統領になった時、世界は平和になると思った。

しかし、望んでいた未来は来なかった。来たのは、アベ政治、Brexit、トランプだった。再チャレンジもアベノミクスもウーマノミクスも来なかった。そして、アメリカでは民主党から大統領が出ても、覇権維持に汲々とするありさまで、ウクライナの民主化も残念ながら間に合わなかった。NYタイムズの「On U.S. Foreign Policy, the New Boss Acts a Lot Like the Old One(米外国政策において、バイデンはトランプとよく似ている)」は衝撃的な記事だ。自分たちで新たな未来を築いていくという夢が持てず、持たすようなことが言えず、理想を曲げ、内政のために外敵を強調する。そんな政治に未来などある分けがない。もちろん、過去の輝かしい「美しい日本」など、どこにも存在しないのである。

私は、中国が経済的に成長して、素晴らしい製品を世界に出すようになってきていたのを本心から喜ばしいと思っていた。韓国の台頭も同じである。もちろん、悔しいと思った。負けて喜ぶほど自虐的ではない。しかし、概ねフェアな戦いで新しい勢力が伸びるのを見るのは喜ばしいことだ。その地に行った時に顔が輝いていると良い気持ちになる。しかし、周囲が暗すぎて、嫉妬心を煽るアベ的な勢力に負けてしまった。少し長い目で見れば、愛国心など焦土しか産みはしない。保守は亡国なのだ。

日本がものすごい勢いで伸びていた時、イタリアでも差別されたし、アメリカでも嫌な思いをした。アイスランドで、ドイツの人から辛辣なコメントももらった。その時は、お前たちの努力が足りないだけだと不遜ながら思ったのである。

しかし、現実にはそれはたまたま時代の風が吹いていただけだった。人に会えば会うほど、能力の差は見いだせない。その時期に適合した制度が機能しているかどうかで経済的な勢いが決まる。そして成功すればほぼ間違いなく慢心して落ちぶれていく。

でも、風向きは変えられるのだ。例えば、EUの誕生は明らかに人々の生活を向上させたと思う。もちろん、この先のことはわからないが、ナショナリズムより共通の価値を真剣に模索するほうが豊かさに近づけるというのが、今、底流として流れている風だろう。その瞬間に吹く風は目まぐるしく変わるが、欧州が本当に苦しい思いをした時期からの復活は本物だと思う。アベ後、Brexit後には逆風が吹いているが、私は本物だと思っている。

地球温暖化の現実を見て、焼き畑の時代が終わったことを自覚すれば、明るい未来は描けると思う。