Drupal 10.1で期待されていたAutomatic UpdatesとProject Browserが見送られた

hagi に投稿

[PP-2] Add Alpha level Experimental Automatic Updates moduleというissueを見ると、postponedとなっていて、バージョンが11.xとなっている。今年の3月16日の決断だった。すぐ使えるようになるとは思っていなかったが、大きく期待していただけに失望感がある。

Drupal core is moving towards using a “main” branch. As an interim step, a new 11.x branch has been opened, as Drupal.org infrastructure cannot currently fully support a branch named main. New developments and disruptive changes should now be targeted for the 11.x branch, which currently accepts only minor-version allowed changes. For more information, see the Drupal core minor version schedule and the Allowed changes during the Drupal core release cycle.

 

Drupal coreは「main」ブランチを使用する方向に進んでいます。Drupal.orgのインフラがmainという名前のブランチを完全にサポートできないため、暫定的なステップとして、新しい11.xブランチが開設されました。新しい開発や破壊的な変更は11.xブランチをターゲットにする必要がありますが、現在(後方互換性確保など)マイナーバージョンで許容される変更のみを許しています。詳しくは、Drupalコアのマイナーバージョンのスケジュールと、Drupalコアのリリースサイクル中に許容される変更をご覧ください。

これは当面駄目かと思っていたら、New Drupal core branching scheme introducedという公式Blogを読むと、10.2は11から枝分かれするように書かれていて、本格的な11の開発が始まるのはまだ先だと書かれていた。機能は変えないが、composerプロジェクトとしての構成は変更するというように考えればよいのだろう。

根本的な問題は、Drupalがcomposer対応が不十分であることにあり、D7からD8へのアップグレードが進まない最大の理由とされている。現実問題として、コマンドライン操作なくしてDrupalを使い続けるのは困難となっている。私は、もう慣れてしまったけれど、D7時代の管理機能の使いやすさからは大きく後退している。もちろん、composerを基本とすることで、依存関係のある他のプロジェクトの更新が容易になり、D7時代より最新機能が早く使えるようになっているメリットはある。だから、方向性としては、composerのベストプラクティスに完全準拠していくのは合理的な方法と言える。

Proposal: Composer Support in Core initiativeに提案とその背景、現状とロードマップ概略が書かれているが、かなり困難な道を切り開いてきた歴史がにじみ出ている。実は、まだPhase 1が完了しているわけではなく、もう5年もかけて対応を進めてきている。

Automatic UpdatesとProject Browserはこのイニシアチブに依存していて、coreのcomposer対応が首尾よくできれば、早ければ10.2で実験的な導入が可能な段階に入れるかも知れない。この2つのプロジェクトが機能するようになれば、サイトビルダーからぐっと使いやすくなる。現在の予定では、2023年12月13日の予定である。

D9からD10へのアップグレードのタイミングは、10.1がリリースされる6月21日以降、End of security support for 9.5.x (due to Symfony 4 EOL).となる11月1日の前と考えるのが適当だろう。感覚的には8月、9月が旬になると思う。私が見ているサイトでは、betaやrcを許容すれば、全てのコントリビューションがD10に対応済みで、恐らく7月には全てrcも取れると見込んでいる。

Composerサポートは、Drupalの機能そのものの強化を意味しないので、とても地味な活動なのだが、こういう地味で負荷の高い改善活動を何年も続けられているところがDrupalコミュニティの強さだと思う。一方、体力が尽きる前に出口にたどり着かなければならない。ユーザーの中にも開発者の中にも脱落者は出ていて、シェアが落ちているのも事実。新たなユーザーを引き寄せるためにも、開発者が寄ってくるためにも、このイニシアチブは極めて重要だと考えている。

※冒頭の画像は、New Drupal core branching scheme introducedから引用させていただいた。

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