米欧ではインフレで物価が上がっている。暮らしていくのが大変だと思っている人は決して少なくない。どこの国の人も、必死で良い方法を探っているように見える。どこに行っても、ルールの隙を突くような人はいるが、そういう人が目立つだけで、恐らく大多数の人は、不正を行うことなく前を向いて歩む道を選択していると思う。そして、どこに行っても、民衆は愚かで、不正を行う外国人や異質なものに毟られて貧乏になっていると煽る勢力がある。分断が進むと経済的なメリットを得られる勢力もある。広義の意味で、死の商人と言って良い。
#G7で最も貧しい国 となってしまった日本。しばしば「日本病」とも言われるが、その日本病から脱却するには「なぜ日本病に陥ったか」の原因を明らかにすることが必要だ。間違った政策を続ければ、近い将来G7諸国以外の“ある国々”にも豊かさで逆転されることになるだろう。https://t.co/D1drWzFlZo
— 野口悠紀雄 (@yukionoguchi10) June 4, 2023
「日本病の大きな原因として考えられるのは、少子高齢化の結果、労働力が不足したことだ。」とある。一人あたりGDPで比較するなら、価値を生み出す人数が総人口比で小さくなれば当然その値は下がる。高齢者が価値を生み出すことができれば値は上がる。もう一つ気になるのは、若い人の生産性は比較優位なのか劣位なのかだ。
戦後、何はともかく食えるようになるためには、金持ち(米国)に買ってもらえるような魅力的な商品を作ることがどうしても大事だった。様々な悪事は今よりもはびこっていたと思うし、環境も劣悪だったが、商品競争力を上げるために頑張れたのは事実だろう。今のコンテキストで考えると、AIであれ、ソフトウェアであれ、製品であれ、観光サービスであれ、稼ぐ力が必要ということだ。ただ、昔と違うのは、金持ちがやっていることをずっと安く我慢できる品質で提供するところから始めるわけにはいかない点だ。一度、金持ちになった国は、新しいことをやるしかなく、追ってくる側を邪魔して潰すようなことを続けていても輝かしい未来は来ない。もちろん、一定の時間は稼げるだろうが、模倣をする新興勢力はただ模倣しているわけではなく、小さな新しいことを足してくる。そして、ニューカマーは小さくて沢山あってやがてアリが巨像を倒すように世代交代は進む。ソフトウェアであれば、ガリバはやがてオープンソースに駆逐される運命にある。ただ、そういう運命にあったとしても、一定期間は利益を享受できる。それは独占に基づく利益で、しばしば先行者利益と呼ばれるものだ。
ほとんどの親は子供の将来の幸せを願うだろう。引いて見れば、一番良さそうに見える施策は、どんな親から生まれても、平等にチャンスがある社会を作ることだろう。一度経済的に上位数%に成長した国家は、エリートを優遇する政策を放棄しなければいけないのだろうと思っている。若い時に感じていた直感とは異なるが、知見を子供に継承するのではなく、文書や制度として構成に残すのが善なる行為だと確信している。
まず徹底した情報公開を進める必要がある。事実を曲げる行為を許してはいけない。それは滅びに至る門だ。