ジャニー喜多川氏の性加害の深刻さは想像を遥かに上回るものだった。これだけの被害が出ているのに、なぜ見逃されてきたのだろうか。警察はなぜ動かなかったのだろうか。
偶像を作り上げるには、金がかかる。知名度を獲得するのは容易なことではない。もちろん、素質の存在も運も大きいだろうが、人の目に触れる時間が十分に大きくなければアイコン化されることは稀である。ジャニーズに属する芸能人は資質はあるのだろうが、表に出る機会が十分になければアイドルとしての地歩を固めることはできない。
ジャニーズの隆盛の影に統一教会の影響を見る記事もある。
『統一教会と岸信介、そしてジャニー喜多川とメリー喜多川、その夫の藤島泰輔との“点と線”』前後編を読むと、意図的に金が動いていた気配はある。一般に右派は人権が嫌いである。人権を尊重すれば軍隊は成り立ちにくい。有無を言わずに従う兵隊が構成できなければ戦えない。宗教活動も良く似ている。現人神を信じさせられるかどうか、指揮命令系統の無謬性を信じさせられるかどうかで影響力が大きく変わる。勝つことに重きを置く人にとっては、集票マシンにも暴力装置にもなるから、敵にするか味方にするかで景色が大きく変わる。
プロパガンダ映像でのジャニーズ事務所との関わりは今日の事態のきっかけになった可能性はあるだろう。右派とのつながりは、不正を隠蔽しやすくする。利用する側からすれば、傷がある方が逆らった時に潰せるから都合が良い。今回の状況が、潰しても良いと利用者に思われたのか、本当に腐臭が隠しきれなくなって発生した問題なのかはわからない。これまで警察の介入がなかったことを考えると、これからある程度の時間をかけて暗部が明らかになっていくだろう。少し長い目で見れば、一番重要視されるべきなのは、どうようの犯罪が起きない、起きにくい制度設計をすることだろう。どういう方法で悪事が隠蔽できたのかを調べきって、同じようなことができないようにするのが望ましい。
私は、ジャニー氏を特別視しすぎるのは適切だとは思わない。彼のような性加害を嗜好する人はそんなに少ないとは思わない。しかし、多くは行動には移さないし、行動を起こしても犯罪行為がバレて長くは続けられない。彼が死ぬまで訴追されなかったのは異常事態である。それができたのには明らかに理由があり、その構造は解明されるべきだ。
会社組織の中に、それを可能とした環境があり、会社の外にも、それを可能とした環境があるだろう。恐らく政治も警察権力も関わっている。被害者の救済は当然だが、このような醜い事件を再び起こさないようにするための追求はさらに重要だ。現在ジャニーズに属するタレントが可愛そうだと思う人はいるが、金の動きがどうなっているかを明らかにしないわけにはいかないだろう。地位の獲得のために、自分の身体を使った人がいなかったとも思わない。アンフェアな行為を許していればきれいな身体になることはかなわない。
少なくとも、内部関係者が社長を勤めたりするような対応はありえない。
アンフェアな商取引も必ずある。
まずは、事実を明らかにするところから始めるしか無いだろう。
勝ち馬に乗るという考え方は破滅に至る道である。政府中枢に相当な腐敗があるのはちょっと考えればすぐわかる。この期に、様々な不正と戦ったら良いと思う。日和ってはいけない。