新生活165週目 - 『「タラントン」のたとえ』

今週も福音のヒントに学ぶ。今日の箇所は「年間第33主日(2023/11/19 マタイ25章14-30節)」。違いもあるが、ルカ伝19章は平行箇所と考えてよいだろう。

福音朗読 マタイ25・14-30

〔そのとき、イエスは弟子たちにこのたとえを語られた。〕14「天の国はまた次のようにたとえられる。ある人が旅行に出かけるとき、僕たちを呼んで、自分の財産を預けた。15それぞれの力に応じて、一人には五タラントン、一人には二タラントン、もう一人には一タラントンを預けて旅に出かけた。早速、16五タラントン預かった者は出て行き、それで商売をして、ほかに五タラントンをもうけた。17同じように、二タラントン預かった者も、ほかに二タラントンをもうけた。18しかし、一タラントン預かった者は、出て行って穴を掘り、主人の金を隠しておいた。
 19さて、かなり日がたってから、僕たちの主人が帰って来て、彼らと清算を始めた。20まず、五タラントン預かった者が進み出て、ほかの五タラントンを差し出して言った。『御主人様、五タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに五タラントンもうけました。』21主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』22次に、二タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、二タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに二タラントンもうけました。』23主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』24ところで、一タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、あなたは蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集められる厳しい方だと知っていましたので、25恐ろしくなり、出かけて行って、あなたのタラントンを地の中に隠しておきました。御覧ください。これがあなたのお金です。』26主人は答えた。『怠け者の悪い僕だ。わたしが蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集めることを知っていたのか。27それなら、わたしの金を銀行に入れておくべきであった。そうしておけば、帰って来たとき、利息付きで返してもらえたのに。28さあ、そのタラントンをこの男から取り上げて、十タラントン持っている者に与えよ。29だれでも持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。30この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。』」

子供の時に読んだが、背筋の伸びる話だった。福音のヒントでも言及されているが、英語でググると、マタイ伝とルカ伝の箇所の違いに言及する記事が無数に見つかる。

福音のヒントでは「明らかに、世の終わりまでわたしたちがどう生きるべきかを問いかけるもの」と書かれている。子供の時に読んだときは、そのようにとった。今読んでも同じように読めるが「この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう」は、かなり強烈だと思う。この歳になって自分のこれまでを振り返れば、与えられた才能を使ってそれなりの成功はできたと言えるのではないかと考えるが、この歳になって振り返ると、かなり運に左右されるものだとも感じるのである。明らかに豊かな才能を持っているように見えてもうまく行かない人もいるし、自分が前職でそれなりに偉くなったのかを不思議に思うようになったのも現実である。前職の後、創業してみて自分には大した才能があるわけではなく会社という不思議な存在をバックに力が発揮できたのに過ぎないことは嫌というほど思い知らされた。一方で、全然駄目かと言えば、そんなこともない。誰にでも浮き沈みがある。そして、終わりの日はいつ来るかわからないから、その時に浮いているか沈んでいるかは予想できない。加えて、自分の目で浮いているという状態と神の目で見て成果が出ているという状態が一致するとも思えない。

旧約では成功者は結果的に多くの人を死に追いやっている。イエスはそういう負の面を果たしてどのように見ていたのだろうか。彼の教えは愛に生きよというものだ。それと「この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう」はどうも一致しない。現実の世界ではもっともだと思う話なのだが、どうも引っかかる。恐らく、私の根本的に求めるものに対する価値観がずれているのだろう。

主人の求めるもの、神の求めるものが何か、耳を澄まして聞き取ろうとしなければならない。恐らくそれは人それぞれで同じことを意味しない。自分の目で見て、自分の耳で聴いて、それに従って行動するしか無いのだろう。

※画像は、Wikimediaから引用したWillem de Poorter: Parable of the Talents。私には、この絵のインパクトは大きくないが、見方次第では主人以外は誰もが風前の灯とも見えてくる。