17年度サードワークプレース研究部会の定例会を終了

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昨日の例会をもって、日本テレワーク協会のサードワークプレース研究部会の定例会は終了した。今年の活動で一番残ったのは、サードワークプレースは使えるか否かの議論はもう終わったという空気である。使えるようになれば良い効果が出ることを疑う人は減った。一方で、サードワークプレースの費用負担をどう取り扱うかが重大な問題として認知されるようになった。

サードワークプレーストライアル時期は、一般には人事部等の推進部門がサードワークプレースの費用を負担し現場部門への配布を行わずに推進する。トライアルの時期を過ぎれば、部門が費用を負担するルールに変わり、途端に利用が停滞するといった事態に直面する。無料なら使いたいが、金がかかるなら使わないという話だ。

ザイマックス総合研究所の調査によれば、東京の一人あたりのオフィス面積は3.81坪。オフィスの坪単価を1.5万円と仮置きすると、賃貸料は一人当たり、5.7万円という計算になる。それを20日8時間勤務仮定で割ると時間あたりは360円程度になる。ぱっと考えるとサードワークプレースは割に合わない感じがする。一等地の老舗サードワークプレースの例として渋谷のCreative Lounge MOVを例にとると、ワンタイムメンバーの時間単価は1,100円。月額にすると、23,000円(コワーキング)または48,000円(セキュアな場所)といったところ。茅場町の独立系のコワーキングスペースCo-Edoだと一部上場企業のオフィス水準とは言えないが、一日1,000円、月9,720円とかなり安価である。

週2日のテレワーク勤務が常態になるとすると、オフィスの利用率は40%減になる。思い切って、オフィス面積を4割削減すると約2.3万円一人あたりの賃貸料は減る。仮にCo-Edoで月8日勤務したとすると8,000円。都合1.5万円一人あたりのオフィスコストが減る。逆にMovで8日8時間過ごすと7万円強になって大幅な負けだが、もし渋谷がホームなら2.3万円の月額契約でトントンとなる。

実際は、電気代やネットコスト、清掃代等もあるので、少なくないケースでサードワークプレースは経済合理性がある。

さて、では制度で考えて経済合理性のあるサードワークプレースの利用を促進するとしたらどうすれば良いか?
単純に考えれば、オフィス費用を固定費として捉えるのはやめれば良いのだろう。変動費と考えて、コストモデルを考えさせれば徐々に通常のオフィス面積は減り、フレキシブルオフィスにワークプレースは移行していく。時代にあった適当な比率にやがて収まっていくのだろう。
大きな時代の流れは所有から利用に向かっているが、それはITの進展で変動費の管理コストが下がったのが理由だと私は考えている。そろそろ、不動産も流動産になる時代を迎えていると考えるのが良いだろう。恐らく、今後10年で下克上が起きる。

人生は意外と長い。インターネット前の暮らしを若者が想像するのは困難なように、私がこの世を去る頃には、もう一つ時代が変わっているだろう。

ちなみに、研究部会の最終回の出席者は約10名、かなり積極的に発言があった。途中、道に迷いそうな時期もあったけれど最後まで支えてくださった方々に心からの感謝を伝えたい。

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