ワーケーションはライフスタイルに影響を与えるか?

hagi に投稿

昨日、7日岡山という企画を知った。まだ、観光感が強いけれど「それは旅でもなく、移住とも違う。生活をしてみる。暮らしてみる。という感覚で過ごしてみる。」というコピーはぐっときた。

私が子供の頃、軽井沢に別荘を持っている人は夏は軽井沢に住んでいたように思う。二拠点生活で、毎年夏になると一定期間住むというライフスタイルだ。経済力があって、お金も使う人だから、その土地でも一定の敬意をもって受け入れられていたのだと思う。フランスだとニースとかを想起する。今の時代はもうちょっとチープなイメージで、ホテル長期滞在といった感じ。毎年同じホテルに泊まっていれば、その街はもう一つの自分の街となるだろう。

年に一ヶ月なら、一泊1万円程度の宿に30日で30万円。テレワークで有給休暇を5日程度消化して、15日は普通に働くというワークスタイルは原理的に可能だ。年に一回なら、お金をかけてやってみても良いと思う人はいなくは無いだろう。夏は必ず沖縄に行くという人はいるし、北海道に行く人もいる。テレワーク時代だと、休暇で行くのではなく休暇を込みにして、沖縄で過ごす、北海道で過ごすというのは特別なことではなくなるだろう。学校もオンライン併用が可能になれば、夏休み期間に縛られる必要もない。家族全員がリモート属性を満たせば、一緒に動くこともできる。一部が別の場所に暮らして、休暇の時間を共に過ごすというあり方も考えられる。

私は、欧州の景色が好きなので、航空券20万円を加えても、50万円かければ1ヶ月の滞在は可能になる。Bookin.comなどの力を借りれば、安価で快適なアパートメントホテルはたくさんあるし、AirBnBを使う方法もあるだろう。ペンション的な交流可能性のある宿に泊まるのも良いが、地元の居酒屋に毎日通えば、1ヶ月もかからずに軽い地元の知り合いはできると思う。

まだ長期滞在に挑戦していないが、2013年から2019年まで毎年Coworking Europeに参加して2、3週間ずつ欧州のどこかに滞在してきたので、だいたいのイメージはもっている。ただ、一箇所滞在が2週間あるいは1ヶ月を超えると多分フェーズが変わる。なんとなく、3ヶ月滞在を3年続けると関係性は大きく変わる気がしている。長期滞在なら、宿も安上げることはある程度可能だ。

国内、国外に関わらず、ひょっとしたらそこに移住してもよいのではないかと思える場所で過ごしたい。典型的なイメージとしては引退後はここに住むという感じ。一時住んだマンハッタンは経済力が許せば、住んでみたい場所だ。だから、毎年2ヶ月位はそこで働くのもありだと思っている。国内だと、岡山は昔父が転勤で住んでいたところなので、ある程度イメージが湧く。住めば過ごしやすいところになるだろうと思う。子供のために好ましいと思われる場所に移住したり、長期滞在したりする未来はもうそこまできているだろう。

だいぶん前のことだが、黒姫に何年か続けて通ったことがある。美しいところだし、今はテレワーク時代だから、そこを拠点にして生きていける可能性もあるだろう。一方で、生活拠点として考えると東京に比べると店が少ないから、日常生活のパターンは小さくなってしまうだろう。もちろん、だからだめということではないのだが、私には都会の魅力は大きい。

私がワーケーション拠点に期待するのは、長期滞在しても飽きないような居住性だ。だから「それは旅でもなく、移住とも違う。生活をしてみる。暮らしてみる。という感覚で過ごしてみる。」はすごく面白いコピーだと思う。

ワーケーション拠点は住める場所で働くのにも適していなければいけない。その視点から見るとコワーキングスペースはとても重要だ。いわゆるシェアオフィス的なものではなく、一人で利用できて、生産性が向上するようなスペースが望ましい。一箇所である必要はないが、入れ替わりがあっても常時1000人程度以上のコワーカーが滞在している地域であってほしと思うのだ。住んでいるところから30分程度離れていても良い。

そうやって考えるとワーケーションはむしろ東京などの大都市のほうが向いている気がする。岡山市や那覇も十分対象になるだろう。ある程度便利な場所から遠くないところを拠点としてオフの時に気軽にいけるお気に入りの場所があればよりよい。

今後1ヶ月単位のワーケーションが行われるようになっていけば、居住流動性も高まるだろう。私は、キーとなるのはアパートメントホテルのバリエーションなのではないかと思っている。ホテルのような非日常の施設ではなく、自前の設営コストの高いアパートや借家でもない。民宿的なものでもよいが、滞在期間に応じた居住空間が整っているかがテレワークを引き寄せるか否かを分けるような気がしている。

何か、結局まちづくりの話しになっていきそうな気がする。技術がワークスタイルの柔軟性を高め、そういう時代に人気の出る街が変わりつつあるということだろう。そして、街を特徴づける大きな要素はその街にいる人だ。サンフランシスコ・ベイエリアは典型的なケースだ。知の時代はまだ暫く続くだろうから、国のレベルで大学の再配置を検討するのが有効かもしれない。美しさがあって、将来が開けそうな場所に若者は集まってくるだろう。強いてあげれば沖縄と札幌には大きな可能性を感じる。