コワーキングスペースには色々な人が来て、入れ替わってゆく。当たり前のことだが、利用料を納められなければ継続することは難しい。そこに行けば何か生まれるんじゃないかという甘い幻想は成り立たない。
今、お世話になっているタリンのスペースでは、結構チームで仕事をしている人は多いのだけれど、チーム以外の人とも適度な接点があって刺激を受けあっているように見える。多分、100人接点があっても何かのビジネスチャンスに育つことはほとんどゼロだろう。たまにはシナジーは出ると思うが、どちらかといえばボランタリーな助けという感じがする。大人の集うスペースで清々しい。
スペース滞在時間は一部の例外を除くと長くない。多分1日4時間〜5時間程度じゃないかと思う。会議も多くはないので、基本的に皆自律的に仕事をやっているように見える。私の向かいにいる人は、Freelance Data Scientistとプロファイルに書いてある。このスペースの中にも取引先があるようだが、よくわからない。
コミュニティマネージャーは仕事がしやすくなるように常に気を配っていて、時折巡回している。見て回っているという感じで、キッチン・カフェエリア以外では用のない話はしないが、こちらから話しかければ丁寧に聞いてくれる。非常に助かっている。ホスピタリティ産業であることを実感している。
今回の滞在は期間は長いのだが、なんだか日本の仕事が多くて、カフェスペースの滞在時間が短くスペース内での会話は少ない。少し物足りない感じがしている。自立、自律は必須要件なのだが、コワーキングが機能するにはそれだけでは足りない。コミュニケーション能力とまとめてしまえば、その通りなのだが、時間をかけてその場に溶け込んでいくことが重要で無理してもどうにもならない。
テレワークが当たり前のものになった時、テレワークが在宅勤務を意味する時代は終わる。オフィス勤務を含めて、自律的にワークスタイルを確立することが必要になるのは間違いないだろう。Flexオフィスはコワーキングとは違うと強く主張する人もいるが、境界線を引く必要はないと思う。自分や仕事の状態によって適切な姿は変わる。
来週はCoworking Europe。私は、現在のCoworkingの夜明けは2011年のSXSWのアンカンファレンスと考えていてGCUCとCoworking Europe / Coworking AsiaでCoworkingの変遷が語られてきた。これからも変わっていくと思う。コミュニティは必ずしも場所に依存するわけではなく、Slackチャネルの併用のような形は当分定着するだろう。知り合いはじわじわと広がり、薄くても長くなれば相互の幸せは少し大きくなる。