新生活211週目 - 「離縁について教える~子供を祝福する」

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今週も福音のヒントの箇所から学ぶ。今日の箇所は「年間第27主日 (2024/10/6 マルコ10章2-16節)」。3年前の記事がある。マタイ伝19章に並行箇所がある。

福音朗読 マルコ10・2-16

 2〔そのとき、〕ファリサイ派の人々が近寄って、「夫が妻を離縁することは、律法に適っているでしょうか」と尋ねた。イエスを試そうとしたのである。3イエスは、「モーセはあなたたちに何と命じたか」と問い返された。4彼らは、「モーセは、離縁状を書いて離縁することを許しました」と言った。5イエスは言われた。「あなたたちの心が頑固なので、このような掟をモーセは書いたのだ。6しかし、天地創造の初めから、神は人を男と女とにお造りになった。7それゆえ、人は父母を離れてその妻と結ばれ、8二人は一体となる。だから二人はもはや別々ではなく、一体である。9従って、神が結び合わせてくださったものを、人は離してはならない。」10家に戻ってから、弟子たちがまたこのことについて尋ねた。11イエスは言われた。「妻を離縁して他の女を妻にする者は、妻に対して姦通の罪を犯すことになる。12夫を離縁して他の男を夫にする者も、姦通の罪を犯すことになる。」
 13《イエスに触れていただくために、人々が子供たちを連れて来た。弟子たちはこの人々を叱った。14しかし、イエスはこれを見て憤り、弟子たちに言われた。「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである。15はっきり言っておく。子供のように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできない。」16そして、子供たちを抱き上げ、手を置いて祝福された。》

福音のヒント(4)に「本来のイエスの言葉の意味は「離婚してはいけない」という掟ではなく、結婚という関係は、互いに相手を神が結び合わせてくださったかけがえのないパートナーとして大切にすることだ、ということだったのではないでしょうか。」とある。現代の文脈では自然な解釈だと思う。しかし、科学の進展により、男と女という分類は思いの外曖昧であったことが分かっている。遺伝的にも自認においても一致しているケースは93%程度なのではないかと言われている。7%の人を異常と断じてしまう社会は不幸を生んでしまう。

3年前に私は「私はこの箇所からヨハネ伝8:11の「わたしもあなたを罪に定めない」という箇所を想起する。」と書いている。私はイエスは姦通そのものに関しては寛容だったのではないかと考えている。むしろ、姦通によって不幸になる人が出ることを憂慮していたのではないかと想像している。一方、パウロの言動からは非寛容な気配がうかがえる。パートナーとお互いに大切にし合いながら生きていければ素晴らしいことだが、きっと大丈夫だろうと思って結婚しても失敗するケースが出るのは避けられない。むしろ、そういうケースに当てはまってしまっても不幸になりにくい社会が望ましいと思う。我慢しすぎて自分を押し殺さなければいけないような状況は好ましいとは思えない。

生まれた子供が安全に育つ環境があったほうが良い。

しばらく前に、教会での2世問題を耳にすることがあった。親夫婦が熱心なクリスチャンで、子供のときに遠方の教会に子供必ず連れて行くのは、考え方によっては拉致と変わらない。日曜日に友達と出かけたい時や一人になりたい時があっても自由がないのは嫌だったと言う。統一教会の2世問題は他人事ではなかったということだ。私は全く気がついていなかったが、それぞれ悩みはあるものだ。宗教は明らかに危険な面がある。法的に離婚を禁じたり、中絶を禁ずると、それに起因にした犠牲者は出る。日曜日は教会学校にという教えが強制されたら不幸を生む。教会も国も子供の権利が尊重される制度を作っていかないといけない。福音は伝えられなければいけないとしても、その強制は愛国心の強要と変わらない。子供は弱い存在で、何らかの保護がなければ生きていくこと自身が難しい。死別も離婚もなく平和な家庭で愛を注がれるのが望ましいが、それだけを原則とするような制度設計は現実的ではない。

裁判あるいは組織意思決定に関わる人であれば、是非を決める基準が必要になり、基準をどう選んでも割りを食う人は生まれてしまう。そして弱い立場の人にしわ寄せが行く。

愛をもって個々のケースに向かうということと、法の支配に服すことは結果が異なることがある。

イエスの受け答えは、原点に戻れば離婚は許されないが、厳格な法の適用は人を救わないことがあるのが現実である、と取れないこともない。もっと平たく言えば、離婚は罪だが、罰すればよいわけではないということだろう。

できる限り、未来志向で進められたら良いのだろう。

※画像は、ARTUKのChrist Blessing Little Childrenから引用させていただいたもの(CC BY-NC-ND 4.0