会社の本店移転の準備

創業時に契約したサービスオフィスの移転に伴い様々な手続きが必要になる。備忘録も兼ねて、やる事をまとめておく。当該合同会社の移転前は港区芝浦で、移転後は千代田区一番町だ。私は、できるだけ電子申請をする主義なので、いろいろ調べて見るが結構真面目に取り組んでもヘルプデスクに電話しないとやり方がちっともわからない。日本の電子政府はあまりにダメすぎる。

1. 定款変更と登記

同時に公告をする方法を官報から電子公告(ホームページ)に変更することにした。準備する資料は、定款、同意書(出資者全員が変更内容に同意することを示す文書)、決定書(業務執行社員として本社移転を決定した事を示す文書)。法務局の管轄が変わるので、登記申請書は、変更前と変更後に必要となる。印紙税は、港が6万円(公告方法の変更分が3万)、千代田が3万円。登記ねっとの申請用総合ソフトはセキュリティチェックにかかって、インストールすらできない。以前格闘して、はっきり言って使えない事が分かっているので、電子申請はあきらめた。

2. 印鑑届(新住所)

社印と印鑑提出者の押印済み届書(なぜかB5)と印鑑提出者(私)の印鑑証明。

3. 日本年金機構の住所変更

「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」で登記事項の証明書が添付に必要(e-Govで申請できる)。e-Govは、無茶苦茶使いにくい。画面ごとにファイルを保管しないと再開できない仕様で、本当に腹が立つ。全くユーザーの事を考えていないような劣悪なインタフェースで、「とても使いにくいダメダメなシステム」の覚悟をして使い始めないと必ず後悔する。

4. 税務署の住所変更(異動届出書)

今度はe-Taxソフトが使える。まず、追加インストールで申請の法人税関係のパッケージを入れ、「納税地の異動の届出」を選択して記入することができる。ここまで行けば、後は大したことは無い。やはりとても使いにくい。

5. 都税事務所の住所変更

今度はeLTAXソフトを使う。実際にはブラウザ(何と今どきIE)に飛ばされ、申請する。地方公共団体選択で既に罠があり、東京都を選んで、もともと港区だから港区を選ぶと「異動届」は出てこない。東京都の東京都を選ぶと異動届が見つかってそれを選択すると事務所が15箇所出てきて、ここで初めて東京都港都税事務所を選ぶことになる。実際には、移動前と移動後の両方に出さないといけないので注意が必要。この届は登記事項証明書等の資料が必要なので、法務局の登記が完了しないと手続きはできない。なお、中途の状態を保存する機能は見当たらない。しかも、ちょっとミスオペをすれば、最初からやり直せと言う指示が出る大変ありがたいシステムである。

6. 従業員の住民税(特徴)の住所変更

同じくeLTAX。今度は、従業員(私の場合は文京区在住)なので、東京都>文京区を選択すると「特別徴収義務者の所在地・名称変更届出書」を選択して手続きを進めれば良い。

実際の手続きは、年が明けてからだが、行政には全くやる気が感じられないシステムで、改めて日本の行政はもう駄目なんじゃないかと思わされた。個々には真面目に頑張っている人が圧倒的多数だと思うが、決断する人は国民の方を向いていないのだろうと感じられるのである。住所変更程度は普通にセルフサービスでインターネットだけでできて当たり前だろうと思うのだが、専門家の助けを借りてお金を使わなければ大変な能力と時間が必要となるのである。ガッデム

コメント

「4. 税務署の住所変更」に付随して、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」が必要な事が判明。こちらは、e-Tax非対応手続きで、結局元税務署、新税務署宛に持参または郵送しなければいけない事が判明。以下のリンクがテンプレートのPDF。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/2801h009.pdf

テンプレートには、移転前の税務署長と書かれているが、以下のe-Gavのページによると、新旧両方に出せと書かれている。どちらが正しいか良く分からない。

http://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?CLASSNAME=GTAEGOVMSTDETAIL&menSeqNo=0000003481&id=4101512100775

結局税務署に電話問い合わせしたところ、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」も現在では、e-Taxの対象手続きになっている事、どちらも元税務署への提出で良い事が分かった。e-Taxソフトで源泉徴収税関連のパッケージを入れて手続きを確認することができた。

これで、税務署の届けは行かずにやれる事が分かった。問い合わせ窓口の方に感謝するが、電子政府のホームページに一貫性のない事が改めて分かった。中々残念な事である。

今日1月7日、定款変更と登記に関わる手続きに行ったところ、同時に新住所の印鑑届を出すように求められた。念のためにもっていって良かったが、印鑑提出者の印に変更がない場合は印鑑証明が不要であることが判明した。300円損した。とは言え、第一ステップは無事完了。

さらに、新法務局に行くときに印鑑カード交付申請書が必要なのだそうだ。また、物理的な印鑑が必要になる。面倒くさいなあ。

登記申請を終えたので、準備しておいた「4. 税務署の住所変更(異動届出書)」2点を電子署名して、e-Taxで申請した。もし、クロスチェックをやっていたら、待たされるか却下されるはずだが、もう確定申告の準備は整っているので、早く手続きをしてしまいたい。

 

今日1月17日、登記完了が確認でき、早速「登記・供託オンライン申請システム」を使って、登記事項証明書の申請を実施、銀行ATMでPay-easyで支払。印鑑カードの取得も必要なので、神保町・九段下の東京法務局を訪問。まず準備しておいた印鑑カード交付申請書を提出、10分程でカードは入手できた。

続いて、電子申請した登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を受け取ろうと思ってキオスク端末に向かうと出ない。何と、窓口で申請番号を申し出て受け取る方式であった。オンライン化されていない事にびっくりした。とは言え、2通取得するコストが1,200円のところが、960円で済んだのはありがたい。電話、移動時間、オンライン操作、ATM操作を全部込みにして、3時間というところ。

明日から残りの手続きを進める予定。

e-govで「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地名称変更」フォームを記入し、いよいよ申請という段階になると「署名して次に進む」ボタンがあらわれるが、これを押下すると「申請届出書等への電子署名の付与に失敗しました。もう一度電子署名をやり直してください。」となる。

ヘルプデスクにつなぐと、お決まりの再インストールとリブートを求められ、さらにマイナンバーのヘルプデスクにかけるように誘導され、JPKI利用者ソフトが正常に動作している事も、マイナンバーカードの状況も問題ない事を確認し、改めてe-govのヘルプデスクにつなぐと、プロファイルを消して、別の場所にインストールを求められ、再起動を求められ、結局問題は解決しなかった。

さらに、ヘルプデスクの担当者にe-govでの申請をあきらめた方が良いのではないかという意味の助言が出るに至って、もはやe-gov、お前はもう死んでいる、と思ったのであった。

とは言え、せっかく始めた事なので、エスカレーションの手続きを取った。担当部局からメール等で連絡が来るとの事である。約3時間のロスト。

2000年11月のIT基本戦略で推進が始まり、20年弱。http://www.e-gov.go.jp/doc/pdf/guidebook.pdf で利便性を訴求しているが、看板に偽りありと言うべきだろう。先日、海外から引っ越してきた方に日本は技術の国で先進的だと信じていたが、実際に来て見ると意外と遅れている(控えめな表現だったがはっきり言えば全然ダメ)と言われたことを思い出す。もう、紙の申請に戻るしかないのだろうか?

もちろん、推進者はまじめにやっているに違いないと信じている。そして、看板と現実の違いも認識しているだろう。しかし、恐らく声を上げれば役人人生の未来は暗くなるのだろう。やらなくちゃいけない事は沢山あって、金は足りない。本当にできないなら、看板を下ろすべきだが、電子政府がまともに機能しない日本などとは言えないのだろう。しかし、実際には時代から取り残されつつある国になっているような気がする。20年もかけたのに、電子政府のシステムはバグが残っているというよりは、相当運がよくなければ動かない、使えないシステムである。スマホ対応など夢のまた夢だ。