昨日2020年4月8日の緊急事態宣言に関わる記者会見で、安倍総理は冒頭発言で「7割」という言葉を4回使った。最後の一回は「出勤者の数を最低7割は減らす」要請だ。それ以降の内容は意見がわかれるが、8割目標の要請が行動変容を導くことができれば、素晴らしいと思う。
最初に聞いた時は、前置きがダラダラと長くて、既知のことしか言っていないし、後半はいつものやっているふり演説としか感じなかった。しかし、改めて読み直してみると、中心部の「5月6日までの1か月に限定して、7割から8割削減を目指し、外出自粛をお願いいたします」はクリアなメッセージで「出勤者の数を最低7割は減らす」と数値目標に踏み込んだのは今までとは違うものだと感じた。
そして、この目標を私達の目標として気持ちを同じにできたら良いと思った。
出勤者の数を最低7割は減らすというのを、従業員視点で見ると、週5日午前午後の10枠の内、7枠あるいは8枠は出勤しないで仕事をするという目標である。8割削減だと、週1日出勤か、週2日半日出勤。7割削減で、週1日半出勤ということだ。しかも、その目的に照らして考えれば、その2枠、3枠は自社オフィス以外のシェアオフィスであろうと、コワーキングスペースであろうと人の集まる場所に行かないようにしようという目標である。もちろん、通勤時間を短縮できたり、満員電車に乗らなければ、長時間多人数と接触するより遥かに良い。1日1,000人の人とすれ違い、30人の呼気を吸い込んでいる人が、200人とすれ違い、3人としか触れ合わなくなれば、ほぼ同じ効果が得られるだろう。
安倍総理には、花がある。好き嫌いはあったとしても、彼のメッセージは多くの人に届く。そのリーダーシップで、大量死が防げるのであれば素晴らしいことだと思う。もっと早くやるべきだったとか、そういうツッコミはあるだろうが、今はどう命を守るかが最重要課題と考えたほうが良い。事業が継続可能か、従業員に対する責任が果たせるか瀬戸際に立たされている人もいて、感染によらない被害も出るだろう。今回の緊急事態宣言は指示を可能とするだけだから、ほぼ全ての事業者に事実上、自由な選択が許されている。私は、その自由を尊いものだと思う。しかし、8割削減には不特定多数の命がかかっている。