小さな企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を考える

hagi2020/05/20(水) - 09:53 に投稿

もし、「人の動きが制約されてしまったら」と考えると、どのような世界が来るのか想像ができない。しかし、商業活動に注目すると、誰かお客様がいて、そのお客様に何らかの情報を発信して、その結果、商品やサービスを発注していただけないと回らない。そう考えれば、まず企業はその存在をデジタル空間上に確立する必要がある。現時点では、まずWebサイトが最初の顔になるだろう。小さな企業だと場合によっては、この段階でもうお手上げと思ってしまう場合も少なくないだろうが、やる気になれば意外とやれるだろう。その最初の一歩を考えてみる。

ちなみに、店舗や商号が法人が一対一でないように、Webサイトも一つである必要はない事は意識しておくべきだろう。顔(ID=アイデンティティ)が必要なのは店舗あるいはサービスブランドの方だ(今後はWebサイトと便宜上呼ぶこととする)。

Webサイトのクラウドサーバー費用は一般には無償ではないが、Google Cloud Platform(以下GCP)で(恒久的な)無償枠を使うことができる。例えば、Wordpressを用いてWebサイトをGCPで立てた2019年から2020年にまたがる事例では、月額料金が13円強という報告がある。未検証だが、Drupalを用いる場合でも同じbitnamiからDrupal Certified by BitnamiというVMイメージがあるので、ほぼ同様の形で実現できるだろう。小規模サイトであれば定常的に月1,000円が必要となることはないと考えて良い(ただ、勉強の段階でいろいろと出費がかさむ可能性はある)。

構えるべきWebサイトを決めたら、お客様との関係を模索することになる。実店舗の場合は、お客様は匿名で来店するが、くり返し来られる方は名前と顔を覚えて、良い関係を構築し、匿名ではなくお得意様に変わる。デジタル空間上で個々人のIDは複数ある。FacebookやTwitter、LINE、電話番号あるいはSMSといったIDがあり、匿名性の高いものも低いものもあるが、現時点でIDとして前提としてよいのは電子メールアドレスだろう。フリーメールの複数アカウントも容易に取得できるから、匿名性を保ちつつコミュニケーション手段を確立する方法としては、電子メールが依然としてもっとも合理的な手段と考えて良い。電子メールのアカウントと似て非なるものにGoogleアカウントがある。PCだとChromeブラウザの右上にあるアカウントであり、スマホでもブラウザの設定を見ると、どのアカウントで使っているかが分かる。もちろん、ログインしなくても使えるようになっているが、ログインするとスマホやタブレット、PCなどで情報が共有できるので遥かに便利になる。類似のアカウントにはMicrosoftアカウントがある。小さな企業がこれらのアカウントを流用すること自身は無料だ。取引が多くなれば課金対象になるが、最初はあまり気にする必要はない。

WebサイトをGoogleアカウント(あるいはMicrosoftアカウント)に基づいてログインできるようにするには、DrupalであればSocial APIモジュールを導入して設定すれば良い。まだ、rc(リリース候補、正規版直前)なので、高い信頼性が問われる大企業では使いにくいが、小規模事業者であれば、むしろ積極的にリスクを取ったほうが良いと思う(筆者はDrupal押しなので、WebサイトはDrupalを推奨するが、長短があるので判断は読者の責任で行って欲しい)。ユーザー登録して頂いた方に、会員向けサービス情報を提供することも可能になるし、連絡のメールを送ることもできるようになる。

メールマガジンのようなものを送るようになると、今度はメールが届いているのか、本当に読んでいただいているのかが気になってくる。メールの量が大きくなければ、Sendgridを利用すれば無料サービスの範囲でもこの問題を解決できる。課金についてもSquare等を使えば登録済み電子メールに請求書を発行してクレジットカード決済をお願いすることも可能になる。流石に決済手数料はしょうがないとしても、無料のサービスだけでかなりの部分はできるだろう。ここまで進めば、とりあえずデジタル空間での商売の準備は整う。もちろん、BASEなどのサービスを契約して始めるほうがずっと楽だろうと思うが、自分でこつこつやれば、工夫できる範囲は広がる。

この記事では、まだ中身には触れていない。これから時間を見つけて、すこしずつ検証していこうと思う。オープンソースを利用する場合は、セルフサービスでやれば本当にほぼゼロ円でいろいろな事が可能になる。ただし、あくまでセルフサービスでやればという事である。私は、自社でプロフェッショナルサービスを提供していて、お客様に代わって手を動かしたり、要望に基づいてコンサルティングを行う場合は費用を請求していることはご承知おきいただきたい。

近々には、上記で紹介したような会員制サイトを立ち上げて、月額100円程度で問い合わせやコメントができるようにしようかと考えている。何かの間違いで1万人位の購読者がついたら、月商100万円になる。常識的にはせいぜい10人もお客様がつけば御の字だろう。ただ、そのトライアル自身が、小さな企業のDX推進活動のリファレンスになれる可能性があり、誰かの役に立てばそれだけでも悪くないと思っている。

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