TransferWiseを知るまでは、海外送金はアメリカのCitiの口座を取り崩して使っていた。日本の銀行は手数料が高いし、使い勝手が良いとは言えなかったからだ。今は変わっているかも知れないが、まだ窓口での手続きが基本で、オンラインでの操作はその模倣に過ぎない位置づけなので使う気にならない。会社を創業した時に某オンライン銀行で口座開設が却下されたので、日本のオンライン銀行の底力は知らない。時間が経過した今なら開設できるかも知れないが、あまり燃えない。
昨年、エストニアで会社を立ち上げ、e-residencyとしてリトアニアのFinTechのPayseraで個人と法人の口座(IBAN)を作った。その口座に資本金を振り込むためにTransferWiseを使った。TransferWiseは送金用の口座としては何の問題もなく使うことができ、しかも日本のTransferWiseでも送金手数料はまあまあ安い。しかも企業の口座と連動させて使うこともできる。会社の銀行口座から、モバイルバンキングでTransferWiseの請求に対して送金すれば、ヨーロッパの会社にもアメリカの会社にも問題なく支払いができる。個人、会社とも問題になるのは受け取りである。銀行送金で受け取ると円で受け取ることになる。EUROは、Payseraで受け取ることはでき、USDはCitiで受けられるけれど、米Citiですら使い勝手、手数料はTransferWiseに及ばない。困っているという程ではないが、不便だと思っていた。
そんな状態だったのだが、2020年9月15日にTransferWiseから”Meet the TransferWise multi-currency account”という表題のプロモーションメールが来た。マルチカレンシー口座が持てるよという待望のメッセージだ。日本円は対象になっていないのは残念だが、私の場合はUSDとEUROがあるだけで御の字である。今後GBPが使いたくなる可能性があるのだが無事GBPも含まれている。さっそく、TransferWiseの個人口座の方でUSDとEUROを開設した。ちゃんとIBANも米国のSWIFT等送金関連情報も付与された。USDの口座はTransferWiseのNYの住所が入っていて、EUROの口座はブリュッセルの住所が入っていた。法人口座で設定するには、3,000円の手数料がかかるようなので、本当に必要になった段階でやることにする。
改めて調べてみたら、ちゃんと日本語の記事「新機能! TransferWiseのマルチカレンシー口座サービス開始のお知らせ」が書かれていた。記事にあるように100万円の上限があるので、やれることには限界があるが、その範囲であれば相当便利になると思う。
ちなみにTransferWiseの本社は英国だが、エストニア出身者でイギリスに住んでいた人が創業に関わった会社だ。失礼ながら、私はエストニアの人たちが特別だとは思っていない。だけど、何というか今はエストニアあるいはバルトの国々に関わるところで才能が開花するのだ。なぜそういう風が吹くのか理由は分からない。これからしばらくは新しいものが彼の地から多く出てくると思っている。日本にも再び順番が巡ってきたら良いなあと願う。
画像は、TransferWiseのマルチカレンシー口座サービスのブログのもの。