今日、日経新聞に『空き家と向き合う(2) 地域ぐるみでホテルに』という記事が出ていた。
天空の城といわれる竹田城址のある地域で、機会があれば見てみたいと思う人は少なくないだろう。仮に、その存在が世界に知れ渡れば移働のロケーションとして考える人もいると思う。イメージとしては、日本人が1か月から3か月程度住んで働くとか、海外の人が1か月から3か月住んで働くとか、といった事が現実的に可能か想像してみた。
まず、一泊1万円以上するようなホテルだと30日で30万円かかってしまい住めない。一日3,000円でも9万円で自宅の居住費用とダブルでかかるとすると小さくはない。一方で、街ぐるみで取り組めば、1か月単位以上であれば空き家に最低限の家具を用意して居住スペースをもっと安く提供することは可能だろう。楽天市場で一か月の貸布団が1万円程度だから、街で取り組めばきっともっと安くできる。食事も街の定食屋で3日前予約位で準備するのであれば、多分生活費はかなり抑えられる。もちろん、自分で調理するのもありだろうが、移働する人にとっては、ある程度選択肢のある出会いの場があった方が好ましい。いざという時に病院にアクセスできる必要もある。
外国人も対象にしようと思うと、英語での診療や、ハラル対応などへの対応も必要になるが、全国単位で支援するような情報サイトがあればそれも越えられるだろう。
今回記事に出ていた朝来市は人口3万人弱。仮に10%の余所者を受け入れられるとすると3,000人。財布のひもを絞りまくったとして月額10万円しか使わなかったとしても3億円のお金が落ちる計算になる。市の一般会計が207億なので、年間36億円のお金が動けば、税収にも確実に影響するだろう。もちろん、58万人の観光客もうれしいが、3,000人×365日は100万人日でもある。
3,000人と書いたけれど、もう少しリアルに想像してい見ると、朝来市役所の最寄り駅は和田山駅。この周辺には病院も複数あるようだが、一日の乗車人数は700人に満たない。自分の住んでいる文京区の千駄木と比較すると、千駄木町の人口が約2万人で朝来市の7割程度だが、千駄木駅の乗降客数は約30,000人。千駄木駅から谷中銀座は数分で喫茶店や飲食店、飲み屋は山ほどある。和田山駅の駅近で3,000人の胃袋をすぐには賄える気はしない。
竹田城址の最寄り駅である竹田駅は和田山駅から1駅6分190円。90分に一本で、乗車人数は173人。竹田駅あたりに住んで晩にちょっと和田山駅あたりに飲みに行くという事は可能な位置だが、生活空間としては余所者100人でも多すぎる気がする。
何か私に解があるわけではない。しかし、観光資源があって1か月滞在することで大きくリフレッシュができるような地域であれば、「地域ぐるみでホテルに」の可能性はきっとあると思う。正直言って移住による人口増は難しいと思うが、自治体として一定の自走が可能になる可能性はあると思った。
私自身は都市型で、非日常としては人のいない所で過ごすのも良いが、人恋しいタイプである。それでも、この記事にある朝来市や静岡市(用宗)などには強い可能性を感じている。
秋田では、TANEHUBのような新たな取り組みもある。またイタリアにはAlbergo Diffusoという取り組みもある。世界に目を広げれば、まだまだ日本には多くの可能性があると思う。都市部でも、例えば千駄木にだって、200人位の余所者が中期滞在で増えても良いはずだと思っている。文京の空き家も10%程度はあると言われていて、その1割が活用できたとして、全体の1%、千駄木という街で人口の1%は約200人で、そういう人が増えて出会いが増えれば面白いと思う。
※冒頭の写真はwikipediaから引用「bullets95 - Flickr: DSC01859, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=29861070による」